オヤシラズは、親知らず、親不知などと書きます。
正しくは第三大臼歯という名前があるのですが、他の永久歯が12〜15歳くらいで生えるのに比較して、18〜30歳くらいの時期に遅れて生えてくるのです。
親が知らないころ生えてくることから、この名前がついたのです。
智歯という呼ばれかたもします。
英語ではWISEDOM TOOTHといいます。
医療関係者は、まんなかの前歯から数えて8番目の歯になるので、8番と呼びます。
オヤシラズは抜歯するべきか?
約20%の人は、遺伝的にオヤシラズの歯胚(つぼみ)がありません。
残念ながら、あなたがオヤシラズのある人でも、骨の内側に完全に埋まっている状態であれば抜歯の必要はありません。
あくまでも、生え方が悪かったり、他の歯を押してかみ合わせに悪影響がある場合、抜歯をおすすめします。
また、長期間海外へ転勤や留学の予定のある方には、予防的におすすめすることもあります。
個人差もあるので、レントゲンを撮ってから、抜歯すべきかを相談します。
ソフトフードの時代
オヤシラズが上下4本とも正しい位置に生えているという人は、現代人では少数派です。
その原因は、食生活の変化と言われています。
昔の人のように固いものを食べなくなり、子供のころからずっとやわらかく調理されたものを食べていると、アゴの骨のサイズが発達しないのです。
まさにソフトフードの時代が、小顔の人々を作りあげてきたのです。
その結果、オヤシラズの生えてくるスペースが不足してきているのです。
正しい位置に生えてこなかったオヤシラズのまわりにバイ菌が発生してトラブルをおこしやすくなっています。
オヤシラズのおこすトラブルとは?
正式な病名は「智歯周囲炎」といいます。
オヤシラズのまわりのハグキの内側に、バイ菌が入りこみ、ウミをもつので腫れたり痛んだりしはじめます。
のどの奥まで広がれば、扁桃腺が腫れることもありますし、食べ物が飲み込みにくくなったりもします。
バイ菌が骨の内部へ進むと、顎骨骨髄炎という病気にもなり、発熱・悪寒といった症状もでてきます。
女性の場合、妊娠中にオヤシラズの周囲のハグキが腫れることが多くみられます。
これは、つわりのせいで、ハブラシが奥まで入りにくくなることと、体質的にハグキが腫れやすくなるためだといわれています。(妊娠性歯肉炎)
結婚生活に入る前、慣れた環境で処置を受けたほうが、精神的にいいかもしれません。
オヤシラズの周囲のハグキにバイ菌が入りこむ場合でも、そのスピードがかなりゆっくりであると、肩こりや頭痛程度しか感じないこともあります。
その不快感から、アゴの関節が左右でふぞろになったり、アゴがうまく動かない、口の開閉がしにくいという症状が生まれることもあります。
急に最近ハギシリしはじめたと家族から言われることもあります。
よく海外旅行へ行ったら、オヤシラズが痛くなったという人がいます。
これは、時差の関係で自分が思った以上に疲れていることが多いのです。
また食生活の変化や、飛行機内の気圧が関係してくることもあります。
海外転勤や留学の場合も、海外には日本のような健康保険制度はありません。
損保会社でやっている旅行保険でも、歯科の治療費用はカバーしないものもあるようです。
口腔外科へのご紹介
当院では、ご本人とよく相談の上、オヤシラズの抜歯を行っています。
ただし、こんな方は大学病院の口腔外科を紹介しています。
・糖尿病の場合
・高血圧の場合
・骨そしょう症の方
・下アゴのオヤシラズで、その根が神経にふれている場合
・上アゴのオヤシラズで、その根が鼻の空洞につきでている場合
紹介先
慶應義塾大学医学部付属病院 口腔外科
東京医科歯科大学歯学部病院 口腔外科
国際医療福祉大学 三田病院 口腔外科
東京大学医学部付属病院 口腔外科
これらの紹介先と、ていねいに連絡をとりあいながら、患者さんの情報提供をしていますので、安心して受診して下さい。
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